
半月が舞台照明のように弧を描き、宙に漂う光の粒子が「時間の砂」のように零れ落ちる。女性は藍の気配を帯びた淡青の着物に金糸の花文。長い黒髪が微風にほどけ、指先は月の縁をそっと撫でる。
—光を編む手が“時間”を進めたり戻したりする、その一瞬を切り取った作品です。
物語の鍵
- 月の弧=時の軌道
半月の円弧は時計の目盛り。彼女が触れた瞬間だけ、星屑が秒針のように流れます。 - 袖の金糸=記憶の章
袖口の金刺繍は四季の花章。過ぎゆく季節=ページをめくる合図。 - 漂う微粒子=時の砂
きらめきは“いま”を可視化する粒度。粗くも細かくもできる彼女の采配が、画面に呼吸を与えています。
まとめ
半月の“弧”に物語を託し、指先の所作で時間を可視化した、静謐で気品あるファンタジー。和装の格と天体の神秘が溶け合うこの一枚は、「記憶をやさしく巻き戻す」ような余韻を残してくれます。作品の世界観が響いた方は、月シリーズの記事もあわせてどうぞ。


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