月の三姉妹、出発前のひととき
夜の森を切り裂くように伸びる線路。その上にぽっかりと浮かぶ満月が、月の三姉妹の小さなピクニックをやさしく照らしています。今回のイラストは、「旅に出る前に、まずはしっかり腹ごしらえ」をテーマにした一枚です。
黄色い着物にうさぎ柄の満月の姉は、湯気の立つボトルを高く掲げて月に乾杯。穏やかな表情からは、これから始まる長い旅への決意と高揚感が伝わってきます。緑の着物にススキ柄の半月の姉は、膝の上で静かに地図か切符を確認中。慎重で面倒見のよい“旅のナビゲーター”といった雰囲気です。赤い着物に三日月柄の妹は、手元のランタンに火を灯しながら、どこか好奇心に満ちた横顔を見せています。
三人が座るのは、線路脇に敷かれた青いチェック柄のレジャーシート。きれいに詰められたお弁当箱には、肉団子や野菜のおかずがぎっしり。小さな包みやお茶のボトルも並び、旅先でも「ちゃんとおいしいものを食べたい」という三姉妹のこだわりが垣間見えます。
背景の森は静まり返り、聞こえてくるのは虫の声と、時折鳴る風の音だけ。線路は遠くの闇へと続き、これから三姉妹が向かう未知の場所を想像させます。柔らかな月光とランタンのオレンジの光が重なり合い、夜の冷たさの中にもどこかあたたかい空気が漂う、ノスタルジックな一枚です。
「月の三姉妹」の旅シリーズのなかでも、このイラストは出発前のドキドキを切り取った、物語のプロローグのような存在。眺めていると、あなたも三人と一緒にお弁当をつまみながら、次の列車を待ちたくなるかもしれません。
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