
果ての見えない砂漠に、ひとりの女侍が膝をついています。
夜空には無数の星が瞬き、淡い天の川が斜めに流れ、静かな宇宙の気配が画面いっぱいに広がります。その中で、彼女の背後にそびえ立つのは、古びた装飾が施された巨大な砂時計。上から下へと落ち続ける砂が、止まることのない「時間」の重さを象徴しているようです。
女侍は、重厚な紋様をまとった黒地の着物に身を包み、腰には白い帯。風に揺れる髪と袖が、厳しい環境の中にもどこかしなやかな強さを感じさせます。両手で握る刀は、夜空の星の光を受けて鋭く輝き、その切っ先には一点だけ強い光が宿っています。それは、流れゆく時間に飲み込まれまいとする彼女の意志そのもののようです。
足元の砂は、風に巻き上げられながら金色に光り、まるで時間の粒子が渦を巻いているかのよう。静止したポーズでありながら、画面全体には「いままさに決断の瞬間を迎えている」という緊張感が漂います。
このイラストは、過ぎ去る過去でも、まだ見ぬ未来でもなく、「今」という一瞬に刀を向ける姿を描いた作品です。日々に追われて立ち止まれないとき、自分の中の軸をもう一度確かめたくなる――そんな感情を、美しい星空と砂漠のコントラストが優しく後押ししてくれます。
時間に流されるのではなく、時間と向き合い、自分の意志で一歩を踏み出したい。
この女侍の背筋の通った姿は、私たちの中にも確かにある「揺らがない覚悟」を思い出させてくれる一枚です。


コメント