灯籠が舞い、夜空と水面が同じ光で満たされる――そんな“息をのむ一瞬”を切り取った、「月の三姉妹」の幻想和装イラストをご紹介します。
今回の舞台は、古い町家が並ぶ水辺の港町。空には月齢が並び、中心には大きな三日月。そして無数の灯籠が、夜の奥行きをやさしく照らしています。

この作品の見どころ
1)「月齢」を物語に変える、空の演出
夜空には、月の満ち欠けが弧を描くように配置され、中心の三日月が印象を決定づけています。
ただ月があるだけではなく、“時間の流れ”そのものが空に可視化されていて、作品全体に詩的なリズムが生まれています。
2)灯籠の光が、空と水面をつなぐ
灯籠は空中に浮遊し、さらに水面にも灯りが落ちています。
この「上(空)と下(水面)」の反射構造が、画面に立体感を作り、見る人を“その夜の空気”へ引き込みます。光が粒として散り、幻想性が増すのもポイントです。
3)月の三姉妹の個性が“着物の柄”で一目で伝わる
三姉妹はそれぞれ、月相と衣装がリンクしたデザインで統一されています。
- 長女(満月):黄色の着物にウサギ柄。落ち着きと包容力を感じる佇まいで、灯りの中でも芯のある存在感。
- 次女(半月):緑の着物にススキ柄。風の気配が似合う、しなやかで穏やかなムード。
- 三女(三日月):赤い着物に三日月柄。跳ねるような動きと明るい表情が画面の躍動を担い、物語を前へ進めます。
“柄=性格”として機能しているので、初見でもキャラクターの関係性が読み取りやすい構成です。
物語として読む:灯籠の夜風と、三姉妹の航海
この一枚は、ただの夜景ではなく、**「旅の途中の一場面」**にも見えます。
三女が灯籠の間を軽やかに跳び、長女と次女がそれを追う。水辺の道、町家の灯り、遠くへ続く灯籠の列。
視線は自然と中央奥へ導かれ、見る側の心も“彼女たちの進む先”へ連れていかれます。
まとめ
「月の三姉妹」は、月相の象徴性と、着物柄の物語性、そして灯籠の光演出が三位一体になったシリーズです。
今回の作品は、**“夜の祝祭感”と“旅の始まり”**が同時に立ち上がる一枚。眺めるほどに、彼女たちの行き先を想像したくなるはずです。


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